カルテのテンプレート、“内科系救急車”です。
解説なんていらねぇ、ものだけ寄越せ、という方の為にまずはテンプレートをば。
テンプレート
~#~
#1 〇〇
#2 △△ と、problem listを記載
~Subjective~
○○救急 担当医:
時間経過:覚知 現着 現発 病着 ⇒重症患者(CPA、ACS、脳卒中など)以外では必ずしも必要ではない。
【主訴】
【病歴】
患者背景:
もともとの生活レベルや、今回の搬送に関わるようなエピソードを。 全然問題ないなら生来健康と。
現病歴:
〇日前から~。
〜発症。~の為、救急要請/搬送。
救急隊接触時、~。
【既往歴】
【家族歴/周囲の感染】
家族の既往や、周囲で同様の症状がないか。
【内服薬】
【アレルギー歴】
【ADL】独居/○○と同居/施設入所
要介護度:
食事:自立?どんな形態?むせ込み?、歩行: 、排泄: 。
【最終食事】
【喫煙/飲酒】
【身長/体重】造影CTや薬剤投与の際に必要。
~Objective~
【First Impression】
重症ならABCD(発声、呼吸様式、冷感冷汗、見当識など)を記載。
他にも、パッと見元気(=general good)か、苦悶様表情か、など。
【Primary Survey】⇒軽症なら【バイタル】に変えて、ABCDは消そう。
バイタル:SpO₂; RR; 血圧; HR; GCS/JCS; BT;
A:開通; 分泌物/血液;
B: 呼吸音; 呼吸様式;
C:左右差; rhythm;
D:瞳孔径; 対光反射; 四肢麻痺; 迅速血糖測定;
【身体所見】
頭部:打撲痕;
顔面:口腔内; 麻痺; 聴力;
頸部:項部硬直/jolt; 頸静脈;
胸部:心音; 呼吸音;
腹部:形状; 腸音; 触診;
骨盤/会陰部:膨隆;
四肢:麻痺; 感覚障害; 動脈触知;
背部:叩打痛;
発疹:
直腸診:
【血液検査】
【画像検査】
【12ch ECG】
【超音波検査】
~Assessment~
【初療経過】
【problem list】
#1
~Plan~
処方、帰宅、入院 など。
帰宅指示も簡単に記載(再診目安など)
といった具合です。
この患者さんにはこの情報いらんやろ、、、と思う項目は都度削除し、これ必要ちゃうんか!っていう項目は追加してください。
ただし、追加する際は注意が必要で、横着して“心音;整、雑音なし 呼吸音;清”などと、取ってない所見をテンプレ化するのは禁忌。(あとでトラブルになりかねません)
勤務する病院や、勤務帯によっては1人で対応しなきゃいけないなんてこともあります。
その時はPrimary Survey ⇒SAMPLE⇒身体診察(Secondary Survey)に移りましょう。
具体的な記載する内容については、以下に適宜解説を加えていきます。
解説
では解説に移りましょう。
【担当医】
担当した医師名を記載しましょう、特に上級医の記載を忘れずに!研修医である自分たちの身を守るのは勿論、研修医独りで対応させてたのか!?と病院にも迷惑が掛かります。気を付けましょう。
【救急隊情報】
病院到着前、

まだかな~、あ、看護師さん今度飲み行きましょうよ~
なんていう前に、救急隊から仕入れた情報をカルテに記載しておくと良いでしょう。
頭の中で到着したときにどう対応するかイメージし、用意できるものは予め看護師さんに用意してもらいましょう。
時間経過は特にCPAやACSなど、1分1秒を争う疾患において特に重要な情報になります。
【主訴】
“お腹が痛い”、“ぐるぐる目が回る”などと患者さんの言葉をそのまま書くのではなく、“左下腹部痛”、“回転性めまい”などのワードに置き換えましょう。
【病歴】
この項目は現病歴として括ってもよいですが、一言二言だけでも、今回の疾患に関連する情報を加えることで、見る側のその症例に対する理解が深まります。(オリジナル?なんで無視して良いです)
例:
<健康な患者>患者背景:生来健康な患者。
<蜂窩織炎の患者>患者背景:糖尿病で他院受診中、コントロール不良であった。
<大動脈弁狭窄症の患者>患者背景:1年ほど前から労作時の息切れ、疲労感を自覚していた患者。
その上で、現病歴として直近のエピソードを記載していくと良いでしょう。
【既往歴】
情報がしっかり取れれば、時系列順に並べ、どの病院でfollowされているのか、完治しているのか治療中なのか、などと言った情報も加えるとよいでしょう。(忙しくかったり、本人や家族が曖昧で記載出来ないことも多々ありますが、、、)
治療や今後の経過に関わる既往だけでも詳細に情報を収集する、記載するように心がけましょう。
【家族歴】
解説は不要でしょう。
【内服歴】
外傷の救急患者程ではないにしても、抗血小板薬/抗凝固薬に関しては必ずチェックしておきましょう。その手の薬が必要な疾患を有していること自体もリスクですし、特に処置時に問題になります。
大腿動脈から採血したり、CV留置やA-line留置する際に止血が甘く、血腫作っちゃいました、なんてことがあると目も当てられません。
その他にも、薬剤から聞き出せなかった既往が発覚したり、用法用量から疾患のコントロールがわかったりするので、出来れば詳しく書きましょう。
【アレルギー歴】
薬剤、食事、花粉や金属などを記載しましょう。特に初めの頃は検査や治療のことばかりに気持ちが先走りがちですが、アレルギーがあればその方針に影響することもあります。
また入院時の食事オーダーでもアレルギーの記載は行う必要があります。聞き逃しないようにしましょう。
【ADL】
超高齢社会の我が国においては、テンプレート化しても良い項目だと思っております。
要介護度はその人の“元気さ”が一発で分かりますし、加えて食事や歩行、排泄が自立出来ているかは、家に帰せるか?、入院後の安静度をどうするか?、と言ったdecision makingにも関わってきます。
【最終食事Ⓛ/排尿/排便】
SAMPLEのⓁ。
なんで最初の聴取で食事が必要やねん、と思った人、安心してください、私もそうでした。
診察中や検査中に酸素化めっちゃ低下した!BVM押さなきゃ!!うわあ、嘔吐しちゃった、窒息だ!!!なんてことにならない為にも、full stomachかどうかは把握しておきましょう。(他にもありますが詳しくは”SAMPLE”で紹介します)
【喫煙/飲酒】
様々な病気のリスク因子として把握しておくべきですね。飲酒に関しては、大量に飲んでいるようであれば離脱症予防が必要となることもあります。
【身長/体重】
薬剤投与量の決定で必要となります、聴取出来たら聴取しましょう。
ここまでがSubjectiveな聴取した内容でした。
ここからはObjectiveな所見を記載することになります。
【First impression】
救急車から降りて来た患者さんに、手で触れながら、“分かりますかー、お名前いえますかー”と尋ねただけで分かる情報をpick upしました。
自分なりに改編してください。
明らかな軽症の患者さんでは必要ないでしょう。
【Primary Survey】
項目はABCDEだけでも良いのですが、見づらくなる為、バイタルサインだけ別にしています。
ABCD内の項目についてはかなり端折っています、本当に最低限です。
ここで引っ掛かった場合は即時介入が必要となります。
【身体所見】
身体の各部位別に記載しています。診察する項目に関しては各自で(以下略)。
大事なのはhead to toeを意識することです。患者さん毎で当然取らない場合もありますが、その場合はしっかり削除しておきましょう。
【血液検査】、【画像検査】、【12ch ECG】、【超音波検査】
そのままです。また後日個別にテンプレ/書き方作成します。
以上がObjectiveな所見についてのテンプレです。
この先のAssessment & Planですが、これらの解説は別項で行おうと(或いは追記しようと)思います。
まとめ
駆け足ではありましたが、いかがでしたか?
解説がメインのブログではないので、各項目については清書を参考にしていただきたいです。
ご自身で経験して、調べてみて、或いは人に聞いてみて、改善点などあれば是非教えて頂きたいです。
ご意見、ご感想お待ちしております。
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